羽化不全でも元気モリモリなクマゼミ。

こんにちは。いきものキュンキュン隊です。
今回は、今年の夏に見た「羽化不全のクマゼミ」について話そうと思います。
羽化自体は上手くいったけれども、羽が綺麗に伸びきらずシワシワになってしまっていたクマゼミのメス。成虫になるために7年土の中で待っていたのに、羽化しても飛べないとは厳しい世界だなと感じました。
セミの一生
セミの一生は、幼虫で1~6年・成虫で約1~2週間。セミの幼虫期間は「7年」とよく言われますが、実は日本に生息しているセミで7年間地中で過ごす種は確認されていないようです。また成虫に関しても最近では「セミは1週間しか生きられない」という定説が覆りつつあり、10日から1か月生きる個体もいると言われています。
しかしアメリカには「17年ゼミ」と「13年ゼミ」と呼ばれる特殊なセミが生息しています。素数ゼミと言われているこの2種類のセミ。2024年には221年ぶりに同時に姿を現すという歴史的な出来事もありました。詳しくはまたコラムにて書こうと思います。
日本のセミにしても素数ゼミにしても、成虫になるために数年間、十数年間土の中で準備してきて、成虫として生きられるのは長くても1か月と思うと儚い命です。そして今鳴いているセミは、数年前に生きていたセミの子供です。命は繋がっているんだなぁと実感します。
毎年夏になるとセミの声がうるさいなーと思いますが、セミからしたら鳴いてパートナーを見つけて子孫を残すためだけに7年間も頑張ってきたのですから「これぐらい許して」って感じかもしれません(笑)
羽化不全でも元気なクマゼミ

2025年の夏もたくさんのセミが元気に鳴いていましたが、最も印象的だったのが「羽化不全のクマゼミ」との出会いです。
写真でも分かるように羽が上手く伸びずシワシワのまま固まってしまっていました。おそらく羽がまだ柔らかい時に落下してしまい、そのまま乾いてしまったのだと思います。
羽以外は何も異常がなく、すこぶる元気なクマゼミのメス。飛ぶことができず地面にじーっといたので、一旦持ち帰り写真を撮らせてもらいました。撮影中もとことこ歩いたり、カーテンにくっつければ器用に登っていく姿を観察できました。
まだ金色の産毛も残っていて羽化したて、なおかつ元気モリモリだったのでオスの鳴き声がたくさん聞こえる木にくっつけて自然に戻しました。飛べなくても子孫を残せることを祈って。
ちなみに、木に戻した瞬間クマゼミは一瞬で人間がいない方へ逃げていきました(笑)その動きを見て、まだまだ元気だから卵を産むことができるんだろうなぁと確信しました。
