オオムラサキのオスとは?見分け方・特徴・観察ポイントを解説

世界に誇る華麗な蝶として「日本の国蝶」に指定されているオオムラサキ。漢字表記は「大紫」、学名は「Sasakia charonda Hewitson (ササキア・カロンダ・ヒューウィトソン)」となっています。タテハチョウ科に属している蝶です。

オオムラサキに関する基本データは以下のような感じ。
・大きさ:翅を広げた状態で約9~12cm
・翅の表:全体的に黄色・茶色味がかった薄い黒。前翅・後翅の中央は鮮やかな青紫色。
模様は翅の中央部分に白い斑点が集まり、その周りに黄色い斑点がある。
・翅の裏:薄いクリーム色、前翅は薄い黒と紫のグラデーション
後翅には模様がほぼない。前翅には表と同様に白い斑点がある。
・生息地:北海道から九州全域。都市化や外来種によって生息地は減少傾向。
・見られる時期:6月下旬から8月上旬
オオムラサキの翅は言葉では形容することが難しいほど美しく不思議な色と模様をしています。さすが国蝶です。しかし近年のオオムラサキの個体数は減少傾向にあります。原因は主に、都市化が進んだことによる生息環境の減少、アカボシゴマダラという外来種の蝶の増加に伴う幼虫の食草の減少の2つが考えられています。
蝶キュンキュン図鑑ではオオムラサキの見分け方・特徴・観察のコツについて書きますが、後日【コラム】にてオオムラサキの数が年々激減している原因について少し触れようと思います。
オオムラサキの弟子?“コ”ムラサキとの見分け方
オオムラサキには似ている蝶も擬態して見た目を寄せている・寄せられている蝶も存在しないと思っています。ゴマダラチョウやアカボシゴマダラ等、まだら模様という点で似ている蝶はいますが、見間違えるほど似ているわけではありません。

そんな中、唯一似ていると思われる蝶が「コムラサキ」。名前も“オオ”ムラサキ、“コ”ムラサキとまるで師弟関係のようです(笑)同じ点と異なる点をまとめると以下のようになります。
・同じ点:前翅の中央部分が青紫色
・異なる点:中央部分の青紫色の範囲と輝き方、大きさ、全体的な翅の色
ちなみに、コムラサキはオオムラサキの2分の1、3分の1くらい。オオムラサキと比べるとかなり小さいです。コムラサキが小さいというより、どちらかと言うとオオムラサキがデカいという方が正しいかもしれません(笑)
オス・メスの見分け方
オオムラサキにおけるオス・メスの見分け方は「前翅の中央部分の青紫色の輝きの有無」です!
ズバリ!
・オス:前翅の表の中央部分が青紫色
・メス:青紫色は全くなく、全体的に茶紫色
オオムラサキという名前の由来はオスの翅の色彩から考えられているということになります。また、メスはオスよりも大きいという特徴もあります。
生態・行動
ここではオオムラサキの生態・行動について詳しく解説します。
・成虫が好む木:クヌギ・ナラ・ヤナギなど(花の蜜も吸いますが樹液がメインです)
・卵を産む場所:エノキ
・飛び方:飛行速度が速く、力強く機敏に飛ぶ
オオムラサキの成虫は主に樹液を吸って生きています。そのため、森林伐採や環境変化の影響をもろに食らってしまいます。幼虫も「エノキ」という限られた木の葉しか食べないため、エノキの状態が幼虫の生死に直結するといっても過言ではありません。
以上のような条件でのみ生存できるオオムラサキにとって、近年の地球温暖化による平均気温の上昇・森林伐採・里山の減少・外来種(アカボシゴマダラ)の増加は、涙が出てしまうようなことだと思います。
観察のコツ
オオムラサキが年々減少している今、野生のオオムラサキを観察できる場所はかなり局地的になっています。
そこでオススメの場所が山梨県北杜市長坂町にある「オオムラサキセンター」です!ここでは「びばりうむ長坂」という建物の中でオオムラサキを飼育しており、1年中オオムラサキを観察することができます。
野生では見つけることが難しい卵や幼虫も確実に観察できるので、本当にオススメです。
【施設情報】
■ 名称:北杜市オオムラサキセンター
■ 所在地:〒408-0024 山梨県北杜市長坂町富岡2812
■ 公式サイト:https://oomurasaki.net/
■ 観察におすすめの理由:オオムラサキの「卵・幼虫・蛹・成虫」を確実に観察できる!
※公式HPにて「現在のオオムラサキの様子」を更新されているので、訪れる際はチェックしてみても良いかもしれません。
ぜひ行ってみてください♪
