ツマグロヒョウモンのオスとは?見分け方・特徴・観察ポイントを解説

春から秋にかけて公園や住宅街など様々なところを飛んでいるツマグロヒョウモン。漢字表記は「褄黒豹紋」、学名は「Argyreus hyperbius(アーギュリアス・ハイパービウス)」となっています。タテハチョウ科に属する蝶です。

ツマグロヒョウモンのオスの基本データは以下のような感じ。

・大きさ:翅を開いた状態で約5~6cm
・色:オレンジ一色
・模様:表は黒いドット模様、裏は黄色ベースのヒョウ柄
・生息地:本州全域
・見られる時期:4月~11月

今回は「ツマグロヒョウモンのオス」の見分け方・特徴・観察ポイントを紹介します。

目次

オス・メスの見分け方

ツマグロヒョウモンにおけるオス・メスの見分け方は「前翅の先端の色」です。

ズバリ!

・オス:先端が黒くない、オレンジ一色
・メス:先端が青みがかった少し黒混じりのグラデーション、白い模様がある

つまり「ツマグロヒョウモン」という名前はメスのみに由来しているとも言えます。

たしかにオスは他のヒョウモンチョウとほぼ同じ見た目なので、オスを軸に名前を考えることは難しいと思います(笑)オスは何だか可哀想な気もしてしまいますが、致し方ありません(笑)

ちなみにツマグロヒョウモンのメスの前翅が上記のような模様をしている理由は、「有毒の蝶に擬態するため」です。日本だと南西諸島や九州に生息しているカバマダラに擬態していると考えられています。

なぜ無毒の蝶が有毒の蝶に擬態するのか?

擬態することで生存確率、つまり子孫を残せる確率が高まるからです。

無毒の蝶が有毒の蝶に擬態することを「ベイツ型擬態」と言います。本当は毒を持っていないけれど、毒を持っている蝶を真似して天敵から身を守るという生存戦略です。つまり蝶にとって護身術のようなもの。有毒の蝶を捕食して苦しんだ鳥などは、おそらく2度とその蝶を食べないという性質を活かしているのだと思います。

ツマグロヒョウモンの他にも、
・無毒:シロオビアゲハのメス ➡ 有毒:ベニモンアゲハ
・無毒:アゲハモドキ(蛾)➡ 有毒:ジャコウアゲハ
・無毒:メスアカムラサキのメス ➡ 有毒:カバマダラ
などが「ベイツ型擬態」をしていると考えられています。

誰が教えたわけでもないのに自然の流れで有毒の蝶に擬態した個体が生き残ったと思うと、生存確率アップに一定の効果があるのではないかなぁと思います。昆虫って面白い。

生態・行動

ここではツマグロヒョウモンの生態・行動について詳しく解説します。

・成虫が好む花:コスモス・ランタナ・セイタカアワダチソウ・ニラの花
・卵を産む場所:スミレ・パンジー・ビオレ
・飛び方:めっちゃ素早い、小刻みにビュンビュンビュンとリズミカル

ツマグロヒョウモンはとにかくスピード全開で飛んでいます。それに加えて予測不能なリズミカル・ビュンビュン飛び。オレンジ色の蝶が颯爽と目の前を通り過ぎて後を追っても、既に遠くにいっていることもしばしばあります。

観察のコツ

ツマグロヒョウモンは本州全域に生息していますが、先述した通り素早く飛ぶ蝶なので中々じっくり観察する機会がないかもしれません。そこでオススメの観察方法が「幼虫飼育」です。

ツマグロヒョウモンの幼虫は夏から秋にかけてスミレの葉っぱにいっぱいいます。蝶の幼虫といったら「ミカンの木にくっつくあおむしくん(アゲハ)」のイメージが強いと思いますが、ツマグロヒョウモンの幼虫も負けていません。理由は以下の3つ。

・スミレ・パンジー・ビオレがあるところにほぼ100%幼虫がいる
・上記3つは低いところに生える草なので見つけやすい
・幼虫の見た目が目立ちすぎて見つけやすい

ツマグロヒョウモンの幼虫の食草は「スミレ・パンジー・ビオレ」です。これらが植えられているところには高確率で幼虫がいます。アゲハの幼虫はミカンやレモンなど比較的背が高い木にくっついているので見つけるのに苦労しますが、ツマグロヒョウモンの幼虫は地面に近い位置で探せるので見つけやすいです。

そして何と言っても「幼虫の見た目が目立ちすぎる」ことがツマグロヒョウモンの幼虫最大の特徴です(笑)アゲハの幼虫は1~4齢は鳥の糞に擬態し、5齢はあおむしくんとなり葉っぱに擬態します。ところがツマグロヒョウモンの幼虫は擬態する気ゼロ(笑)黒い体に黒と赤のトゲトゲを装備してすごくバイオレンスな見た目に仕上がっています。

人間にとっては見つけやすくて助かりますが、鳥やカマキリなど天敵からすると毒を持っているように見えて怖いのかもしれません。

ということで、ツマグロヒョウモンの観察は「幼虫飼育」をオススメします♪

https://ikimono-kyunkyun.net/category/blog/metamorphosis

上記のURLに私が実際に体験した「ツマグロヒョウモンの幼虫・成長記録」をまとめてあるので、ぜひ見てみて下さい。

目次