【蝶キュンキュン図鑑 ー番外編ー】なぜ蝶の翅からレモンの香りがするのか?

先日投稿したブログ『スジグロカバマダラのオスとは?見分け方・特徴・観察ポイント解説』で、「性標」について触れました。

その中で「発香鱗(はっこうりん)」と呼ばれる特殊な鱗粉を紹介したので、今回は少し詳しく解説しようかなと思います。

(↓ぜひ読んでみてください。)

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蝶の翅から良い匂い

先ほど紹介した記事にも書きましたが、翅からとても良い香りを放つ蝶がいるんです。

その正体は「スジグロシロチョウ」というシロチョウ科の仲間の蝶。モンシロチョウと良く似ていますが、黒いスジが何本か入っているのが特徴です。

そして最大の特徴が翅から放つ香り!なんと「レモンの香り」がするんです!それも微かに香る程度ではなく、割と強くしっかりめにレモンの香りがします。

捕まえた時はただ単に「良い匂い~。」と思っていましたが、良く考えれば不思議なことです。さらにその香りは「オスのみ」の特徴。メスからは全くレモンの香りがしないと言います。

なぜオスのスジグロシロチョウからレモンの香りがするのか?

ズバリ、答えは「オスがメスにアピールしたいから」です。

昆虫は子孫を残すためだけに生きていると言っても過言ではない生き物。そのため生きている間に交尾をして次世代の命を残さなければいけません。

卵から生まれてくるのも、成虫になってエサを食べたり飛んだり鳴いたりすることも、全ての目的はそこに集約されているような気がします。

こうして頑張っても最終的にオスはメスに気に入られないと自分の遺伝子を残せません。(オスにとっては中々厳しい現実…(笑))そこで少しでもメスに気に入ってもらえるようにと工夫した結果「レモンの香りがする翅」という作戦が誕生したのではないかなーと思います。

レモンの香りを放つ仕組み

①:スジグロシロチョウのオスには「フェロモンを分泌する」器官があり、そこでレモンの香りの元となる「シトラール」と呼ばれる物質を生成。

②:生成されたシトラールは「発香鱗(はっこうりん)」を通じて拡散。

という流れでレモンの香りが放たれていると考えられます。

仕組みは分かっても、なぜレモンの香りだとメスにモテるのか?というところまではまだ分かりません(笑)

1000年前には他の香りを放つスジグロシロチョウがいたのかもしれませんが、その個体は全くモテず、レモンの香りのオスだけがモテモテだったので残ったという話かもしれませんね(笑)

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