ナミアゲハの「春型・オス」とは?見分け方・特徴・観察ポイントを解説

春になると公園や道路、庭など様々なところで飛んでいるナミアゲハ。漢字表記は「並揚羽」、学名は「Papilio xuthus(パピリオ・クス―トス)」となっています。アゲハチョウ科に属する蝶です。
ナミアゲハの基本データは以下のような感じ。
・大きさ:翅を広げた状態で7~12cm
・色:黄色い翅
・模様:黒い線、後ろ翅の表・裏に「オレンジ寄りの赤」と「青」の模様アリ
・生息地:日本全土
今回はナミアゲハの中でも「春型・オス」の特徴や観察ポイントを紹介します。
春型・夏型の見分け方

ナミアゲハにおける「春型・夏型」の見分け方について。
ズバリ!
・春型:全体的なサイズ感が小さく、色彩が華やか。黒い模様の面積が少ない。出現時期は3~5月。
・夏型:春型に比べて大きく、色彩は控えめ。黒い模様の面積が多い。出現時期は5~10月。
春型のサイズが小さい理由は、夏型に比べて食草の新芽が少ないためエサを十分に食べられないことが関係していると思います。色彩の濃さや黒い面積の違いについては理由が分かり次第、追記します!
- そもそもなぜ春型と夏型に分かれるのか?
-
それが「蝶の生存戦略」だから!
ほとんどの蝶は幼虫・成虫で越冬できません。
そのため10月頃に卵から孵った幼虫は蛹で冬を耐えて春を迎えてから蝶にならないと次の世代を残すことができません。
こうして蛹で越冬して春に羽化した「春型の蝶」を皮切りに、第2世代、第3世代…と繋がっていきます。もし11~2月に蝶として生きていたら、寒さに耐えられず子孫を残すことなく命が尽きる可能性があります。その場合、世代交代が上手くいかずに蝶の歴史が途絶えてしまうので、春型・夏型と分けることによって生き残ってきたのだと思います。
メス・オスの見分け方

次にメス・オスの見分け方ですが、以下のようになっています。
・メス:全体的に大きい。色彩はぼんやりした印象。黄色はクリーム色に近く濃い黄色。
・オス:全体的に小さい。黄色と黒のコントラストがかなりハッキリ。黄色は白に限りなく近い黄色。
どちらも美しい見た目をしていますが、好みは断然オスです(笑)とことん深い黒と限りなく白に近い黄色が織りなすハッキリとしたコントラストがたまらなく美しい!!!
生態・行動
ここではナミアゲハの成虫の生態や行動について詳しく解説します。
・成虫が好む花:ツツジやヤブガラシ、アベリアなど。
・卵を産む場所:ミカン、レモン、ユズ、カラスザンショウ、カラタチ、キハダなど。
・飛び方:ひらひら割と優雅に飛ぶため、目で追いやすい。
吸蜜植物、卵を産む場所から考えると、公園や家の庭など観察場所の範囲は結構広いと思います。
特に「アベリア」は開花時期が5~10月と長く、良く公園や道路脇で咲いているのを見るのでオススメです。
観察のコツ

ナミアゲハをじっくり観察するコツは「風が強く良く晴れた日中の10~14時、吸蜜中か産卵中」に限ります!
風が強い日はナミアゲハが高いところまで上手く飛んでいけないので、比較的近くで飛んでいる姿を見ることができます。
そして良く晴れた日中の10~14時はたくさんの蝶が活動するフィーバータイム。人間にとっては1番暑さがキツイ時間帯ですが、蝶観察・蝶採集にはもってこいのタイミングです。(水分補給と涼しい場所での休憩は忘れずに!)
もっとうってつけのシチュエーションが「吸蜜中」と「産卵中」。
この時のナミアゲハは花の蜜を吸うことと卵を産むことに全集中しているので、近くまで寄ってもあまり逃げられません。羽の形や色・模様をじっくり観察したり、写真を撮ったりする最高のタイミングだと思います。オススメです!
